エクセルでの作業効率化を実現するために、知っておくと便利な機能の一つが「ワイルドカード」です。ワイルドカードを使えば、特定の文字列やパターンを含むデータを検索したり、一括で置換したり、条件に一致するデータを集計したりと、さまざまな作業を効率化することができます。また、アスタリスクやクエスチョンマークを使った部分一致検索や、任意の文字列や数字を含む文字列の検索も可能です。
本記事では、エクセルのワイルドカードについて、具体的な使い方や実例を紹介します。Excelでの作業に慣れている方も、初心者の方も、ぜひこの記事を読んで、エクセルの作業効率化のノウハウを身につけてみましょう。
Excelのワイルドカードとは
Excelの検索機能で、特定の文字列やパターンを検索する際に使用する記号のことを指します。ワイルドカードは、アスタリスク(*)、クエスチョンマーク(?)、ブラケット([ ])の3種類があります。これらの記号を組み合わせることで、高度な検索を行うことができます。
ワイルドカードの種類と使い方
「」の使い方
アスタリスクは、0文字以上の任意の文字列を表します。以下は、「」の使い方の例です。
- 「*abc」:「abc」で終わる文字列を検索
- 「abc*」:「abc」で始まる文字列を検索
- 「abc」:「abc」を含む文字列を検索
「?」の使い方
クエスチョンマークは、任意の1文字を表します。以下は、「?」の使い方の例です。
- 「a?c」:「a」から始まり「c」で終わる3文字の文字列を検索
- 「?bc」:「bc」で終わる2文字の文字列を検索
- 「a?b」:「a」と「b」の間に1文字の任意の文字列を含む文字列を検索
「[ ]」の使い方
ブラケットは、指定した文字のうちいずれか1つに一致する文字列を検索します。以下は、「[ ]」の使い方の例です。
- 「[abc]」:「a」「b」「c」のいずれか1文字を含む文字列を検索
- 「[0-9]」:0から9までの数字を含む文字列を検索
- 「[!abc]」:「a」「b」「c」以外の1文字を含む文字列を検索
Excelでの検索でワイルドカードを使う方法
セル内の文字列の検索
ワイルドカードを使った文字列の検索は、以下の手順で行います。
- 検索窓に検索文字列を入力する
- 「オプション」ボタンをクリックし、ワイルドカードを使用する場合は「ワイルドカードを使用する」にチェックを入れる
- 「検索」ボタンをクリックする
ワイルドカードを使った複数条件検索
複数条件の検索は、以下の手順で行います。
- 「Ctrl + F」を押して検索ダイアログを開く
- 「オプション」ボタンをクリックし、ワイルドカードを使用する場合は「ワイルドカードを使用する」にチェックを入れる
- 「検索対象」に検索対象の範囲を選択する
- 「検索条件1」と「検索条件2」に検索条件を入力する(条件は、「,」で区切ることで複数指定可能)
- 「すべて検索」をクリックする
ワイルドカードを使った数式の作成
ワイルドカードを使った数式の作成は、以下の手順で行います。
- 数式の先頭に「=IF」を入力する
- IF関数の条件式に検索対象のセルとワイルドカードを組み合わせた式を入力する
- IF関数のTRUE値に結果を入力する
- IF関数のFALSE値に、さらにIF関数を入力し、同じ手順で条件を指定する
ワイルドカードの活用例
部分一致検索
例えば、社員名簿の中から、「田中」を含む社員を検索する場合、以下のようなワイルドカードを使った条件を指定します。
- 「田中」:「田中」を含む文字列を検索
特定の文字列の検索
例えば、年度決算書の中から、売上と費用の合計を計算する場合、以下のようなワイルドカードを使った条件を指定します。
- 「売上」:「売上」を含むセルを検索
- 「費用」:「費用」を含むセルを検索
複数条件の検索
例えば、社員名簿の中から、「田中」かつ「営業部」に所属する社員を検索する場合、以下のようなワイルドカードを使った条件を指定します。
- 「田中」、「営業部」:「田中」を含み、「営業部」に所属する社員を検索
ワイルドカードの注意点
大文字と小文字の区別
Excelでは、大文字と小文字を区別するため、検索する文字列が大文字であっても、検索対象の文字列が小文字である場合は、検索がヒットしない場合があります。注意が必要です。
ワイルドカードの位置による結果の変化
ワイルドカードを使った検索では、ワイルドカードの位置によって検索結果が変わる場合があります。例えば、「abc」で検索した場合は、「abc」で終わる文字列が検索対象となりますが、「abc」で検索した場合は、「abc」で始まる文字列が検索対象となります。
ワイルドカードの使いすぎによる処理速度の低下
ワイルドカードを使った検索では、検索対象のデータが多い場合は、処理速度が低下する場合があります。ワイルドカードの使用回数や、複雑な条件を設定する場合は、検索対象の範囲を限定するなどの工夫が必要です。
ワイルドカードを使った高度な検索
正規表現との組み合わせ
正規表現とワイルドカードを組み合わせることで、より高度な検索を行うことができます。例えば、「[0-9]+」という正規表現を使うことで、複数の数字を含む文字列を検索することができます。
複雑な条件を設定する方法
複雑な条件を設定する場合は、IF関数やAND関数、OR関数を組み合わせることで、条件を指定することができます。また、条件を指定するセルに条件式を入力することで、条件を簡単に変更することができます。
Excel以外のアプリケーションでのワイルドカードの使用方法
Word
Wordでもワイルドカードを使った検索ができます。検索ダイアログを開いた後、「ワイルドカードを使用する」にチェックを入れ、検索条件を入力することで、ワイルドカードを使った検索が可能です。
Access
Accessでもワイルドカードを使った検索ができます。検索クエリの条件式に、ワイルドカードを組み合わせることで、複雑な検索が可能です。
PowerPoint
PowerPointでも、検索ダイアログを開いた後、「ワイルドカードを使用する」にチェックを入れることで、ワイルドカードを使った検索が可能です。
ワイルドカードを使ったデータの加工
データの抽出
Excelのワイルドカードを使って、特定の文字列を含むデータのみを抽出することができます。以下の手順でデータの抽出が可能です。
- 「Ctrl + F」を押して検索ダイアログを開く
- 「オプション」ボタンをクリックし、ワイルドカードを使用する場合は「ワイルドカードを使用する」にチェックを入れる
- 「検索対象」に検索対象の範囲を選択する
- 「検索条件」に検索条件を入力する(例えば、「田中」と入力することで、「田中」を含むセルを抽出することができます)
- 「すべて検索」をクリックする
データの置換
Excelのワイルドカードを使って、データの置換が可能です。以下の手順でデータの置換が可能です。
- 「Ctrl + H」を押して置換ダイアログを開く
- 「オプション」ボタンをクリックし、ワイルドカードを使用する場合は「ワイルドカードを使用する」にチェックを入れる
- 「検索対象」に検索対象の範囲を選択する
- 「検索条件」に検索条件を入力する(例えば、「田中」と入力することで、「田中」を含むセルを抽出することができます)
- 「置換後の文字列」に置換後の文字列を入力する
- 「すべて置換」をクリックする
データの並び替え
Excelのワイルドカードを使って、データの並び替えが可能です。以下の手順でデータの並び替えが可能です。
- セル範囲を選択して、「ソート」をクリックする
- 「カスタムリスト」ボタンをクリックし、カスタムリストを作成する
- 「ワイルドカード」を使った検索条件を入力し、「追加」ボタンをクリックする
- 「OK」ボタンをクリックする
ワイルドカードの活用による作業効率化の実例
データ集計の自動化
Excelのワイルドカードを使って、データの集計を自動化することができます。以下の手順でデータ集計の自動化が可能です。
- 集計対象のデータを選択する
- 「データの集計」をクリックする
- 「集計するデータの範囲」を選択する
- 「集計する条件」に検索条件を入力する(例えば、「田中」と入力することで、「田中」を含むデータを集計することができます)
メールアドレスの一括変換
Excelのワイルドカードを使って、メールアドレスの一括変換が可能です。以下の手順でメールアドレスの一括変換が可能です。
- 変換前のメールアドレスが入力されているセル範囲を選択する
- 「Ctrl + H」を押して置換ダイアログを開く
- 「ワイルドカードを使用する」にチェックを入れる
- 「検索条件」に検索条件を入力する(例えば、「*@gmail.com」などと入力することで、Gmailのアドレスを一括で変換することができます)
- 「置換後の文字列」に置換後の文字列を入力する
- 「すべて置換」をクリックする
データの分析におけるワイルドカードの活用
Excelのワイルドカードを使って、データの分析を効率化することができます。例えば、「田中」と入力することで、「田中」を含むデータを抽出することができます。その後、抽出したデータを集計することで、より効率的なデータ分析が可能になります。
ワイルドカードに関するポイント
ワイルドカードの入力方法の省略
Excelでは、検索ダイアログの入力欄に直接、アスタリスクやクエスチョンマークを入力することで、ワイルドカードを使った検索ができます。これによって、ワイルドカードの入力方法を覚えていなくても、簡単に検索を行うことができます。
ワイルドカードを使わずに文字列の検索方法
Excelでは、ワイルドカードを使わずに文字列の検索方法もあります。例えば、「大文字/小文字を区別しない」にチェックを入れることで、大文字と小文字を区別しない検索が可能になります。
ワイルドカードを使うことで解決できる問題の一覧
Excelのワイルドカードを使うことで、以下のような問題を解決することができます。
- 特定の文字列を含むデータを抽出したい
- 特定のパターンに一致するデータを抽出したい
- 特定の文字列を含むセルを一括で置換したい
- 特定の条件に一致するセルのみを抽出したい
アスタリスクを使った部分一致検索の補足
Excelのワイルドカードであるアスタリスクを使って、部分一致検索が可能です。例えば、「田中」と入力することで、「田中」を含む文字列を検索することができます。ただし、アスタリスクを使った検索は、処理が重くなる場合があるので、注意が必要です。
アスタリスクを使ったワイルドカードの便利な使い方
Excelのワイルドカードであるアスタリスクを使って、以下のような便利な検索が可能です。
- 任意の文字列を検索する:「*」
- 任意の1文字を検索する:「?」
- 数字を含む文字列を検索する:「[0-9]」
- 英字を含む文字列を検索する:「[a-z]」、「[A-Z]」
- 特定の文字列を除外する:「ABC」、「!ABC」(「!」を付けることで、指定した文字列を除外することができます)
以上が、Excelのワイルドカードを使った検索やデータの加工についての解説となります。ワイルドカードを活用することで、複雑な検索やデータの加工が可能になるため、Excelの作業効率化に役立ててみてください。
まとめ
今回は、エクセルの機能であるワイルドカードについて、検索やデータの加工方法、作業効率化の実例、ワイルドカードの入力方法や便利な使い方などをご紹介してきました。ワイルドカードを使うことで、特定の文字列やパターンを含むデータを抽出したり、一括で置換したり、条件に一致するデータを集計したりと、作業効率化に役立てることができます。ぜひ、本記事を参考にして、エクセルでの作業効率化を実現してみてください。
PC関係のことならなんでも大好き。自身が学んだことや効率化のためのお役立ち情報を更新します。